春になると紫やピンクの可愛らしい花を咲かせるアジュガ。日陰でも元気に育つグランドカバーとして人気の植物ですが、ネットで検索すると「植えてはいけない」という言葉が並んでいて、不安になった方も多いのではないでしょうか。
「庭に植えてみたいけど、本当に大丈夫なの?」「後悔しないか心配…」そんな気持ち、よくわかります。
実は、アジュガが敬遠される理由はいくつかあります。驚くほどのスピードで広がる繁殖力、毒性があるという噂、風水的に良くないという話。こうした情報を見ると、不安になるのも当然ですよね。
でも、ちょっと待ってください。アジュガは適切に育てれば、とても魅力的な植物なんです。むしろ、日陰の庭を美しく彩ってくれる貴重な存在といえます。
この記事では、アジュガの本当のところをすべてお話しします。どんな種類があって、どれくらい広がるのか。植え付け時期はいつがベストで、どうやって増やすのか。枯れる原因は何で、花後はどう管理すればいいのか。そして、一緒に植えると相性の良い植物は何なのか。花言葉に込められた意味まで。
育て方のコツさえ押さえれば、アジュガは素敵なグランドカバーとして活躍してくれますよ。
- アジュガが「植えてはいけない」と言われる本当の理由がわかる
- 繁殖力の強さや毒性、風水の真相など誤解を解消できる
- 後悔しない植え方と管理方法が具体的に学べる
- グランドカバーとして上手に活用するコツがわかる
「アジュガを植えてはいけない」と言われる理由

まずは、なぜアジュガが植えてはいけないと言われるのか、その理由を見ていきましょう。
猛スピードで広がって他の植物を駆逐してしまう
アジュガが「植えてはいけない」と言われる最大の理由は、その驚異的な繁殖力にあります。
想像してみてください。春先に「ちょっとした空きスペースを埋めたい」と思って小さな苗を植えたアジュガが、気づいたら庭全体に広がっていた、という状況を。実際に、そんな経験をした方は少なくありません。
ランナーで無限に増殖する仕組み
アジュガは「ランナー」と呼ばれる茎を地面に這わせながら増えていきます。このランナーの先端に新しい子株ができて、それがまた根を下ろす。この繰り返しで、1年で約30cm四方まで広がるとされています。
しかも、アジュガの学名「レプタンス(reptans)」は「匍匐する」という意味なんです。名前からして、這いつくばって広がるのがアジュガの本性というわけですね。
一株から出る茎も多く、それぞれが元の長さの約3倍まで伸びて広がります。他の植物と一緒に育てている場合、その生育スペースを奪い合うことになってしまうんです。
こぼれ種でも増える二重の拡大経路
厄介なのは、アジュガがランナーだけでなく、種からも増えるという点です。
春に咲いた花が終わると種ができます。この種が地面に落ちて、またそこから新しい株が生まれる。つまり、栄養繁殖と種子繁殖の二重の拡大経路を持っているわけです。こうなると、もう止められません。
ある園芸愛好家の方は「最初は花壇の縁取りとして植えただけだったのに、3年後には庭中がアジュガだらけになった」と話していました。
| 繁殖方法 | 広がる速度 | 管理の難易度 |
|---|---|---|
| ランナーによる栄養繁殖 | 1年で30cm四方 | 比較的容易(ランナーを切るだけ) |
| こぼれ種による種子繁殖 | 予測不可能 | 困難(あちこちから芽が出る) |
| 両方が同時進行 | 非常に速い | かなり困難 |
隣家への侵入トラブルも
とはいえ、アジュガは草丈が低いので、隣の家の庭にまで侵入することは比較的少ないです。ユキヤナギのように高い位置から伸びていくタイプではなく、地面を這うように広がっていくためですね。
でも油断は禁物です。花壇の境界を越えて広がっていくことは十分にありますし、気づいたら思わぬ場所に根を下ろしていることも。管理を怠ると、あなたの想像を超えた範囲まで広がってしまうかもしれません。
風水的に「北西に植えてはいけない」という説がある
「アジュガを北西に植えてはいけない」という話、Yahoo!知恵袋などでよく見かけますよね。
実際、「アジュガを植えて しばらくしてアジュガの風水の話を聞きました」「アジュガを北西に植えてはいけないらしいのですが、うちは北西に植えていました…今からでも北西はやめたほうがいいのでしょうか?」といった相談が多く寄せられています。
北西は「主人の方角」という考え方
風水において、北西は「天」や「一家の主」を表す神聖な方角とされています。五行では「金」のエネルギーを持ち、リーダーシップや社会的成功に関わる重要な方位なんですね。
この方角が乱れていると、「組織がうまくまわらない」「独善的になる」といった悪影響があるとされているため、北西には質の高いもの、格の高いものを置くべきという考え方があります。
では、なぜアジュガが北西に向かないとされるのでしょうか。明確な理由は見つかりませんが、おそらく「地面を這うように広がる性質」が、主人の格を下げるイメージと結びついたのかもしれません。
花言葉は実はポジティブ
面白いことに、アジュガの花言葉は「心休まる家庭」「強い友情」なんです。
親株から伸びるランナーの先に子株がつく様子が、家族や絆をイメージさせることから、こうした花言葉がつけられました。むしろ、家族の幸せを願う気持ちが込められているわけですね。
風水の話は気になる人には気になるでしょうし、気にならない人には全く問題ないレベルの話です。科学的な根拠はありませんから、最終的にはあなた自身の感覚で判断すればいいと思います。

毒性があると誤解されやすい
「アジュガは猛毒ですか?」という質問も、よく見かけます。結論から言うと、一般的な園芸品種のアジュガに猛毒はありません。
ただし、情報によってばらつきがあって、混乱している人も多いようです。
アルカロイドが含まれるという情報の真偽
一部の情報源によると、アジュガの根や茎には「アルカロイド」という成分が含まれているというデータがあるようです。アルカロイドは植物由来の窒素を含む有機化合物の総称で、大量に摂取すると健康被害を引き起こす可能性があるとされています。
また、ヨーロッパの一部地域では薬用として使われることもあるようで、摂取することでホルモンに影響を与える可能性があるため、妊婦さんや授乳中の女性には使用が推奨されていないという情報もあります。
ただし、これは「薬用として摂取した場合」の話です。庭に植えて観賞するだけなら、基本的に問題はないと考えられます。
ペットや子供への配慮
とはいえ、小さなお子さんやペットがいるご家庭では、念のため注意が必要かもしれません。
犬や猫がアジュガを誤って食べてしまった場合、消化不良や軽い中毒症状を引き起こす可能性があるという報告もあります。また、葉や茎に触れた際に、まれに皮膚がかぶれることもあるそうです。
「絶対に危険」というわけではありませんが、ペットがよく遊ぶ場所や、小さなお子さんの手が届く範囲には植えない方が安心でしょう。もしくは、柵を設けるなどの対策を取ることをおすすめします。
アジュガを扱った後は手を洗う習慣をつけておけば、さらに安心ですね。
一度植えると完全に取り除くのが困難
「やっぱりアジュガを取り除きたい」と思っても、それが簡単ではないのが悩ましいところです。
地面を這うように広がる植物の宿命といいますか、一度根付いてしまうと、完全に駆除するのには時間と労力がかかります。
地下茎が残ると再生する
アジュガの厄介なところは、地面との接地面からすぐに発根する点にあります。
ランナーを切って地上部分を取り除いても、土の中に残った根や茎の一部から、また新しい芽が出てくることがあるんです。まるでヒドラの首みたいですよね。一つ切っても、また次が生えてくる感じです。
ただし、アジュガの根は比較的浅いので、地下茎で広がる植物(ミントなど)に比べれば、まだマシな方です。少し掘るだけで根っこごと引っこ抜くことができますから。
完全除去には根気が必要
それでも、庭全体に広がってしまったアジュガを完全に取り除くには、かなりの根気が必要です。
定期的にチェックして、新しい芽が出てきたらすぐに抜く。これを繰り返すことで、徐々に減らしていくしかありません。完全に根絶するまでに、1年から数年かかることも珍しくないんです。
ある方は「アジュガを植えたことを後悔して除去しようとしたけど、結局3年かかった」と言っていました。最初の1、2ヶ月は毎週のように新しい芽を取り除いていたそうです。
こう聞くと、「やっぱり植えない方がいいのかな…」と思ってしまいますよね。でも、逆に言えば、最初から適切な場所に適切な方法で植えて、定期的に管理すれば問題ないということでもあります。
グランドカバーとしてのデメリットまとめ
アジュガはグランドカバーとして人気がありますが、実はいくつかのデメリットもあります。
草丈が意外と高くなる
グランドカバーと聞くと、地面にぴったり張り付くような低い植物を想像しませんか?でも、アジュガは花が咲く時期には、草丈が30cmほどになることもあります。
これが何を意味するかというと、人が歩く場所のグランドカバーには向かないということです。芝生のように踏みしめることができないんですね。花壇の縁や、人が立ち入らない場所には最適ですが、用途は限られてきます。
他のグランドカバー植物との比較
| 植物名 | 草丈 | 踏圧耐性 | 繁殖力 | 管理の手間 |
|---|---|---|---|---|
| アジュガ | 10〜30cm | 低い | 非常に強い | 定期的な剪定が必要 |
| 芝生 | 3〜5cm | 非常に高い | 中程度 | 刈り込みが必要 |
| クローバー | 10〜20cm | 高い | 強い | 比較的少ない |
| リュウノヒゲ | 10〜15cm | 中程度 | 遅い | ほぼ不要 |
突然枯れることがある
アジュガには、もう一つ意外な弱点があります。それは、環境変化に敏感で、条件が合わないと突然大量に枯れることがあるという点です。
特に夏の暑さには弱く、耐寒性はあっても耐暑性はそれほど強くありません。直射日光が長時間当たる場所では、葉焼けを起こして枯れてしまうこともあります。
せっかく広がったアジュガが一斉に枯れると、庭の美観を著しく損ねてしまいます。これも「植えてはいけない」と言われる理由の一つなんですね。
それでもアジュガが人気の理由
ここまでデメリットばかり話してきましたが、アジュガにはそれを上回る魅力があるのも事実です。
だからこそ、多くのガーデナーに愛され続けているわけですよね。
美しい花と葉のバリエーション
春に咲く紫やピンク、白の花は本当に可愛らしいです。しかも、葉色のバリエーションが豊富なのも大きな魅力。
チョコレートのような濃い茶色の葉を持つ「チョコレートチップ」、シルバーの斑が入る「シルバークイーン」、明るいライムグリーンの「ゴールドライム」など、品種によって雰囲気がガラリと変わります。常緑なので、冬でも葉の美しさを楽しめるのがいいですよね。
日陰でも育つ貴重な存在
日陰でも育つ植物って、意外と少ないんです。特に、花を咲かせる植物となると、選択肢はかなり限られてきます。
アジュガは1日1〜2時間程度の日照があれば十分育ちます。建物の北側や、大きな木の下など、他の植物が育ちにくい場所でも元気に育ってくれる。これは本当にありがたいですよね。
雑草対策として優秀
デメリットと表裏一体ですが、アジュガの旺盛な繁殖力は、雑草対策としては非常に優秀です。
地面を覆うように広がるので、雑草が生えにくくなります。草取りの手間が減ると考えれば、管理が多少必要でも、それは許容範囲かもしれません。
結局のところ、アジュガは「植えてはいけない」というより、「特性を理解した上で、適切に管理できるなら植えても大丈夫」という植物なんです。デメリットを知った上で、それでも植えたいと思えるなら、チャレンジする価値は十分にあると思いますよ。
アジュガを植えてはいけない場所を避ければ上手に育てられる

ここからは、アジュガを上手に育てるための具体的な方法を見ていきましょう。
後悔しないアジュガの育て方と管理方法
アジュガを植えて後悔しないために、まず押さえておきたいのは植える場所選びです。
適切な場所に植えるだけで、トラブルの大半は避けられます。逆に、場所選びを間違えると、どんなに管理を頑張っても苦労することになりますよ。
半日陰で風通しの良い場所が理想的です。1日に1〜2時間程度日が当たる場所なら十分。建物の陰や、樹木の足元などが最適ですね。
植え付け時期は、春(3〜5月)または秋(9〜11月)が適しています。真夏や真冬は避けましょう。株間は20cm程度空けて植えると、ほどよく広がってくれます。
そして何より大切なのが、広がりを制限することです。レンガやブロックで区切りを作る、花壇に植える、防根シートで枠を作るなど、物理的に広がる範囲を限定しておくと安心です。
花後の管理も重要ですよ。花が終わったら、花穂を根元から切り取りましょう。こぼれ種を防ぐことができます。花穂を掴んで引っ張ると、プチプチと根元で切れるので、意外と簡単です。
ランナーが想定外の場所に伸びてきたら、ハサミで切って子株を引っこ抜く。これを定期的に行えば、コントロールできます。根が浅いので、力はいりません。
アジュガの種類と選び方
アジュガには多くの品種があり、葉色や花色によって雰囲気が大きく変わります。自分の庭に合った品種を選ぶのも、楽しみの一つですよね。
代表的な品種をいくつかご紹介しましょう。
| 品種名 | 葉色 | 花色 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| チョコレートチップ | ブロンズ〜茶色 | 青紫 | 小型で人気、定番品種 |
| バーガンディグロー | 白・紫・ピンクの斑入り | 青紫 | 季節で色が変化 |
| シルバークイーン | 緑に白い縁取り | 青紫〜ピンク | 明るい雰囲気 |
| ゴールドライム | ライムグリーン | 明るいピンク | 日陰を明るく演出 |
| ブラックスカロップ | 黒っぽい緑 | 濃い青紫 | 上品で落ち着いた印象 |
| アルバ | 鮮やかな緑 | 白 | 清楚で珍しい白花 |
日陰の庭を明るくしたいなら、ゴールドライムやシルバークイーンがおすすめです。シックな雰囲気を出したいなら、チョコレートチップやブラックスカロップが良いでしょう。
品種による繁殖力の違いは、それほど大きくありません。どの品種も旺盛に育ちますので、見た目の好みで選んで大丈夫ですよ。
アジュガと一緒に植えると相性の良い植物
アジュガは背が低いので、背の高い植物との組み合わせが基本です。
樹木の足元にアジュガを植えると、樹木が日陰を作ってくれて、アジュガが地面を覆ってくれるという、お互いにとって良い関係が築けます。特に、ギボウシやシダ類など、同じく日陰を好む植物との相性は抜群ですね。
逆に避けた方が良いのは、同じように地面を這って広がる植物です。例えば、クローバーやタイムなどと一緒に植えると、陣取り合戦になってしまいます。また、小さな球根植物(クロッカスやスノードロップなど)も、アジュガに覆われて埋もれてしまう可能性があるので注意が必要です。
アジュガが枯れる原因と増やし方
アジュガが枯れる主な原因は、過湿、乾燥、葉焼けの3つです。
夏場の蒸れには特に弱いので、風通しの確保が大切。水はけの悪い場所では根腐れを起こすこともあります。逆に、直射日光が長時間当たる場所では乾燥と葉焼けで枯れてしまいます。適度な湿度を保ちつつ、風通しを良くする。このバランスが重要なんですね。
増やし方はとても簡単です。ランナーの先についた子株を、そのまま土の入ったポットにセットするだけ。2〜3週間で根付きます。または、株分けも可能です。大きくなった株を掘り上げて、手でほぐすと自然に分かれるので、それを別の場所に植え直せばOKです。
春と秋が株分けの適期です。真夏と真冬は避けましょう。
よくある質問
最後に、アジュガに関するよくある質問にお答えします。
Q. アジュガは猛毒ですか?
A. 一般的な園芸品種のアジュガに猛毒はありません。ただし、一部の成分により、大量に摂取すると体調不良を起こす可能性があるという報告もあります。観賞用として楽しむ分には問題ありませんが、ペットや小さなお子さんが誤って食べないよう注意しましょう。
Q. アジュガのデメリットは?
A. 最大のデメリットは、繁殖力が強すぎて制御が難しい点です。定期的な管理を怠ると、庭全体に広がってしまう可能性があります。また、草丈が30cmほどになるため、踏圧に弱く、人が歩く場所のグランドカバーには向きません。
Q. アジュガは風水的にどうですか?
A. 北西に植えない方が良いという説がありますが、科学的根拠はありません。風水では北西は「主人の方角」とされ、格の高いものを置くべきとされています。気になる方は北西以外の場所に植えることをおすすめしますが、最終的には個人の判断次第です。
Q. みょうがを庭に植えてはいけない理由は何ですか?
A. みょうがも地下茎で広がりやすく、アジュガと同様の理由で注意が必要です。一度植えると駆除が難しく、思わぬ場所から芽が出てくることがあります。植える場合は、区切りを作るなどの対策が必要です。

まとめ
アジュガを植えてはいけないと言われる理由と、上手な育て方についてお伝えしてきました。最後に、重要なポイントをまとめておきますね。
- アジュガは繁殖力が非常に強く、1年で30cm四方に広がる
- ランナーとこぼれ種の二重の拡大経路を持つため管理が必要
- 風水では北西に植えない方が良いという説があるが科学的根拠はない
- 一般的な園芸品種に猛毒はないが、ペットや子供への配慮は必要
- 一度植えると完全除去には時間がかかるため場所選びが重要
- 草丈が30cmほどになるため踏圧に弱くグランドカバーとしては用途が限られる
- 環境変化に敏感で、条件が合わないと突然枯れることがある
- 美しい花と葉のバリエーションが魅力で常緑で一年中楽しめる
- 日陰でも育つ貴重な植物でシェードガーデンに最適
- 半日陰で風通しの良い場所が理想的な植え場所
- 植え付け時期は春(3〜5月)または秋(9〜11月)が適期
- レンガやブロックで区切りを作り広がる範囲を限定すると安心
- 花後は花穂を切り取りこぼれ種を防ぐことが大切
- チョコレートチップやバーガンディグローなど品種が豊富
- 背の高い植物との組み合わせが基本で樹木の足元に最適
- 過湿と乾燥、葉焼けが枯れる主な原因
- ランナーの子株を使えば簡単に増やせる
- 定期的な管理を行えば美しいグランドカバーとして活躍する
アジュガを植えてはいけないと言われる理由は、主にその旺盛な繁殖力にあります。しかし、デメリットを理解して適切な場所に植え、定期的に管理すれば、美しいグランドカバーとして活躍してくれます。
植える前にリスクをしっかり把握し、後悔のない庭づくりを目指しましょう。日陰の庭を彩る植物として、アジュガは本当に魅力的な存在ですよ。
