芍薬を植えてはいけないという話を聞いて、不安になっている方も多いのではないでしょうか。華やかで美しい芍薬ですが、実は庭に植えてはいけない理由がいくつかあると言われています。
とはいえ、全ての場合で植えてはいけないわけではないんです。
植える場所の日当たりや水はけの良さ、育て方の難易度を理解すれば、地植えでも鉢植えでも美しい花を楽しめますよ。植えっぱなしでも毎年咲いてくれる芍薬ですが、開花時期に花が咲かないトラブルや、後悔するポイントもあります。冬越しの方法や花言葉に隠された意味も知っておくと、より芍薬を楽しめるはずです。
今日は、芍薬を植える前に知っておきたい注意点と、失敗しない育て方のコツを詳しく解説していきますね。
- 芍薬を庭に植えてはいけないと言われる具体的な理由
- 植える場所や環境に応じた育て方の難易度
- 花が咲かない原因と開花させるための対策方法
- 地植えと鉢植えの違いや冬越しのコツ
芍薬を植えてはいけないと言われる理由

結論: 芍薬は日当たり不足や水はけの悪さ、スペース不足により栽培が難しくなります。適切な環境であれば初心者でも育てられますが、環境が合わない場所では花が咲かず後悔することも。植える前に必ず日照時間(6時間以上)と排水性を確認しましょう。
- 芍薬とは?簡単な基本情報
- 庭に植えてはいけない理由
- 後悔する前に知っておきたいポイント
- 育て方の難易度はどのくらい?
- 花言葉に隠された意味
芍薬とは?簡単な基本情報
芍薬は、中国東北部からシベリアにかけての冷涼地帯が原産の多年草です。5月から6月にかけて大輪の美しい花を咲かせ、「立てば芍薬、座れば牡丹」という有名なことわざにも登場する花なんです。
芍薬の基本データ
まずは芍薬の基本情報を表で確認しておきましょう。
| 科名・属名 | ボタン科ボタン属 |
| 原産地 | 中国東北部〜シベリア |
| 植物分類 | 多年草(宿根草) |
| 草丈 | 60〜100cm |
| 開花時期 | 5月〜6月 |
| 花径 | 10〜15cm |
| 植え付け時期 | 10月〜11月 |
| 耐寒性 | 強い |
| 耐暑性 | やや弱い |
牡丹との違い
芍薬は草本植物で、冬になると地上部が枯れて根の状態で越冬します。これが木本植物である牡丹との大きな違いなんです。
| 芍薬 | 牡丹 | |
|---|---|---|
| 分類 | 草本植物(宿根草) | 木本植物(落葉低木) |
| 冬の状態 | 地上部が枯れる | 枝が残る |
| 茎 | 細くまっすぐ | 太く枝分かれ |
| 葉 | 細長く艶がある | ギザギザで艶なし |
| 香り | バラのような香り | ほとんどなし |
| 開花時期 | 5月〜6月 | 4月下旬〜5月上旬 |
芍薬の魅力
芍薬の魅力は、その美しい花姿だけではありません。バラのような甘く爽やかな香りも特徴的で、香水やハンドクリームにも使われているんです。
また、古くから漢方薬としても利用されてきた歴史があります。芍薬の根は婦人科系の漢方薬に配合されることが多く、葛根湯などにも含まれているんですよ。
和芍薬と洋芍薬の違い
日本で栽培されている芍薬は、大きく分けて「和芍薬」と「洋芍薬」の2種類があります。
| 和芍薬 | 洋芍薬 | |
|---|---|---|
| 由来 | 平安時代以前に薬草として伝来 | ヨーロッパで品種改良 |
| 花形 | 一重咲き、翁咲きなどシンプル | バラ咲き、手まり咲きなど豪華 |
| 香り | やや控えめ | 強い |
| 雰囲気 | 和風の庭に合う | 洋風の庭に合う |
庭に植えてはいけない理由

芍薬を庭に植えてはいけないと言われる理由は、主に4つの栽培上の課題があるからです。
理由①:日当たり不足で花が咲かない
芍薬は日当たりが非常に重要な植物なんです。1日6時間以上の直射日光が必要で、日照が不足すると花芽が育たず、つぼみすらつかなくなってしまいます。
北向きの庭や高い塀の近く、建物の影になる場所では、思うように育ってくれません。葉は茂るのに花が咲かないという残念な結果になりやすいんですね。
理由②:水はけが悪いと根腐れを起こす
芍薬は根腐れしやすい植物で、粘土質の土壌や水はけの悪い低地では、根が傷んでしまうリスクが高いんです。雨後に水たまりができるような場所は、芍薬にとって最悪の環境と言えるでしょう。
根腐れを起こすと、春の芽出しが悪くなり、花茎も細くなってしまいます。
理由③:スペース不足で他の植物と競合
芍薬は年々株が大きくなり、成株では株幅80〜100cm、根は半径40〜60cmにまで広がります
狭い庭や花壇に他の植物と一緒に植えてしまうと、水分や養分を芍薬が優先的に吸収してしまい、周囲の植物の生育が悪くなることがあるんです。
理由④:放置すると病気が発生しやすい
植えっぱなしで何年も放置すると、たくさんの茎が密集して生えるようになり、株の中心部の風通しと日当たりが著しく悪化します。
これにより、うどんこ病や灰色かび病などのカビ性の病気が発生しやすくなってしまうんですよ。また、芍薬は真夏の強い日差しには弱く、葉焼けを起こすこともあります。
| 問題点 | 原因 | 結果 |
|---|---|---|
| 花が咲かない | 日照時間6時間未満 | 花芽が育たない、つぼみ落ち |
| 根腐れ | 水はけの悪い土壌 | 芽出し不良、花茎が細い |
| 他の植物が育たない | スペース不足、根の競合 | 周囲の植物の栄養不足 |
| 病気の発生 | 密集による通気不良 | うどんこ病、灰色かび病 |
| 葉焼け | 真夏の強い西日 | 葉が変色、株が弱る |
後悔する前に知っておきたいポイント
芍薬を植えて後悔しないためには、植え付け前に押さえておくべき重要なポイントがいくつかあります。
植え付けのタイミング
芍薬の植え付けに最適な時期は秋の10月から11月ごろなんです。この時期に植えることで、冬の間に根をしっかり張らせ、翌春からの成長がスムーズになります。
春植えも可能ではありますが、根の活着が悪くなるため、できるだけ避けたほうが無難なんですね。
植える深さが最重要
芍薬を植える際に最も注意すべきなのは「芽の深さ」です。芽の上に土を厚くかぶせすぎると、翌年花が咲かなくなる可能性があります。
芽の先端が地表から2〜3cm下になるように植え付けるのが理想的です
深く植えすぎると芽が地上に出てこられず、浅すぎると冬の寒さで芽が傷んでしまいます。
肥料管理は年3回
芍薬は肥料を好む植物なので、肥料が不足すると花が咲きにくくなります。最適な施肥時期は年に3回あります。
| 時期 | 目的 | 肥料の種類 |
|---|---|---|
| 3月(芽出し前) | 春の成長を促進 | 緩効性化成肥料 |
| 6月(花後) | 翌年の花芽形成 | 骨粉入り油粕または液肥 |
| 9〜10月(秋) | 根の充実、冬越し準備 | 牛糞堆肥、腐葉土 |
特に花後の6月の追肥は、翌年の花芽形成に大きく影響するので、忘れずに行いたいですね。
開花後の剪定は慎重に
花が終わったあとに地上部をすぐに切ってしまうと、根に十分な栄養がたまらず、翌年の花が咲かなくなることがあります。
開花後すぐには切らず、葉が黄色くなるまで残すこと。そして咲き終わった花は早めに摘み取って株の負担を減らすことが大切なんです。
5〜6年ごとの株分けが必須
芍薬は何年も株分けをしないと株が老化して花をつけなくなってしまいます。5〜6年に一度は株分けを行って、株の若返りを図ることが必要なんですね。
株分けは秋の10月ごろに行い、芽が3〜5つになるように株を分けます。
育て方の難易度はどのくらい?

芍薬の育て方の難易度は、実は環境によって大きく変わってきます。適した環境で育てれば、初心者でも比較的簡単に美しい花を楽しめますよ。
気候への適応性
芍薬の原産地は寒冷地なので、寒さには非常に強く、北海道から本州中部にかけて広く栽培されています。冬には地上部が枯れますが、地下の根がしっかりと生きており、春になると再び芽吹きます。
一方で、高温多湿には弱いため、夏場は風通しを良くし、強い直射日光を避けるなどの配慮が必要になってきます。特に西日本の暑い地域では、夏越しがやや難しくなることがあるんですね。
地植えと鉢植えの難易度比較
| 地植え | 鉢植え | |
|---|---|---|
| 難易度 | 中(環境が合えば易) | 中〜やや難 |
| 水やり | ほぼ不要(真夏のみ) | こまめに必要 |
| 肥料 | 年3回 | 年3回+追肥推奨 |
| 植え替え | 5〜6年に1回 | 2〜3年に1回 |
| スペース | 広いスペース必要 | ベランダでもOK |
| 移動 | 困難 | 簡単 |
| 花数 | 多い | やや少ない |
| おすすめ | 環境が整っている方 | 初心者、環境不安定な方 |
病害虫への対応
葉枯れ病やアブラムシ、うどんこ病などが発生することがあります
とはいえ、日頃から栽培環境を良くしておけば、被害を最小限に抑えることができますよ。つぼみが出てきた頃から、定期的に殺菌剤や殺虫剤を散布しておくと安心です。
花言葉に隠された意味
芍薬の花言葉は、その華やかな見た目とは裏腹に、とても奥ゆかしい意味を持っているんです。
芍薬全体の花言葉
芍薬全体の花言葉は「恥じらい」「はにかみ」「誠実」「威厳」などがあります。豪華で堂々とした花姿なのに、「恥じらい」という花言葉がついているのは、ちょっと意外に感じますよね。
花言葉の由来
この花言葉の由来には、いくつかの説があるんです。
一つ目は、芍薬の花が夕方になると花びらを閉じる習性があることから、恥じらっているように見えるためだと言われています。二つ目は、イギリスの民話に由来するもので、恥ずかしがり屋の妖精が芍薬の花に隠れたところ、花まで赤く染まったというエピソードから「恥じらい」の花言葉が付いたとされています。
また、英語には「Blush like a peony(芍薬のように頬を赤く染める)」という慣用句があり、これも花言葉の由来の一つと考えられているんですよ。
色別の花言葉一覧
実は、芍薬は花の色によっても花言葉が異なります。
| 花色 | 花言葉 | イメージ | 贈り物 |
|---|---|---|---|
| ピンク | 恥じらい、はにかみ、生まれながらの素質 | 可憐で優しい | ◎ ウェディングに最適 |
| 白 | 満ち足りた心、幸せな結婚、恥じらい | 純真で幸福 | ◎ 結婚祝いに最適 |
| 赤 | 誠実、威厳 | 力強く真摯 | ◎ 敬意を込めて |
| 紫 | 怒り、憤怒 | 高貴だが厳しい | △ 注意が必要 |
| 黄色 | (未定) | 新しい品種 | ◯ 色の美しさで |
贈り物にする際の注意点
注意が必要なのが紫の芍薬です
紫の芍薬には「怒り」「憤怒」という、やや怖い印象の花言葉が付けられているんです。これは、西洋文化において紫が高貴さや威厳を示す色である一方、それが転じて厳しさや近寄りがたさを象徴すると解釈されたためと考えられています。
もし芍薬をプレゼントとして贈る場合は、ピンク、赤、白などの色を選ぶと、誤解なく温かい気持ちを伝えることができますよ。紫の芍薬を贈りたい場合は、他の色の花と組み合わせたり、選んだ理由を直接伝えるなどの工夫をすると良いでしょう。
芍薬は5月の誕生花でもあるので、5月生まれの方への誕生日プレゼントとしても最適なんですね。
芍薬の植えてはいけない場合の育て方

結論: 環境が整わない場合は地植えを避け、鉢植えで管理するのがおすすめです。日当たりや水はけの問題がある庭では、無理に地植えせず、移動可能な鉢植えで育てることで花を楽しめます。適切な場所選びと冬越し、そして花が咲かない原因への対策が成功の鍵です。
- 鉢植えから地植えまでの流れ
- 地植えは植えっぱなしでOK?
- 植える場所はどこがいい?
- 開花時期と冬越しの方法
- 花が咲かない原因と対策
- 芍薬を植えてはいけないケースまとめ
鉢植えから地植えまでの流れ
芍薬を育てる際、鉢植えからスタートして後に地植えに移行するという方法も、実はおすすめなんです。
苗の選び方
芍薬の苗は、秋頃(9月〜11月)にポット苗で流通しています。この時期のポット苗はまだ葉が付いていない状態が多く、少し芽が出ている程度です。
春頃になるとつぼみをつけた状態や、花が咲き始めている状態の鉢植えも出回るので、すぐに花を楽しみたい方や初心者の方は、つぼみをつけた芍薬の鉢植えを購入することをおすすめします。
購入する際は、根がしっかりしていてカビや腐敗がないこと、茎が太くて健康的であることを確認しましょう
鉢植えでの育て方
鉢植えで育てる場合は、なるべく大きめの鉢を選んでください。芍薬は年月が経つにつれて根の量が増えるので、最初から大きい鉢で育てる方が生育も良くなります。
鉢底にゴロ土を敷いて排水性を高め、赤玉土5:腐葉土3:山砂2の割合でブレンドした用土か、市販の花用培養土を使用すると良いでしょう。植え付けの際は、芽の先端が土の表面から2〜3cm下になるように調整します。
| 項目 | 鉢植えでの管理 |
|---|---|
| 水やり | 土の表面が乾いたらたっぷりと(夏は毎日) |
| 鉢のサイズ | 8〜10号以上の深鉢 |
| 置き場所 | 日当たり良好、風通しの良い場所 |
| 植え替え頻度 | 2〜3年に1回(秋) |
| 肥料 | 植え付け時、開花後、冬の寒肥 |
地植えへの移行
鉢植えで1〜2年育てて、株が充実してきたら地植えに移行することもできます
春先に購入したポット苗は、9月〜10月まではそのままの状態で管理し、秋になったら地植えにするのが理想的なんです。地植えに移行する際は、深さ50cmほどの穴を掘り、バーク堆肥や腐葉土を混ぜて植え付けます。
排水性の良い土壌を作ることが、成功の鍵になりますね。霜が降りる10月前には、植え付けた場所に牛糞堆肥をこんもりと撒いておくと、冬の間に土壌が改良されて翌春の成長が良くなります。
地植えは植えっぱなしでOK?
芍薬は丈夫な多年草なので、一度地植えにすれば基本的には植えっぱなしで毎年花を楽しめます。
とはいえ、完全に放置してしまうのはおすすめできないんです。
地植えの芍薬は、水やりに関しては比較的手間がかかりません。雨が降ると芍薬が自然に水分を吸収するので、基本的に水やりをしなくても大丈夫です。ただし、真夏の晴れが続く場合はたっぷりと水を与えてください。
芍薬は根を深く張るため、表面が乾いていても地中には水分が残っていることが多いんですが、長期間雨が降らない場合は注意が必要なんですね。
植えっぱなしで何年も放置してしまうと、株が密集して風通しが悪化し、病気が発生しやすくなります。芍薬は年々地下の根茎が成長し、株が大きくなっていくため、数年間植えっぱなしにしていると、たくさんの茎が密集して生えるようになるんです。
株の中心部の風通しと日当たりが著しく悪化すると、湿度が高い状態が続き、カビが原因となるうどんこ病や灰色かび病が発生する絶好の環境になってしまいます。
5〜6年に一度は株分けを行って、株の若返りを図ることが大切です
株分けは、芽が3〜5つになるように根をできるだけ切らないように注意しながら株を分けます。株を分けたら葉を半分に切りつめ、それぞれ植え替えるんですね。
また、開花後の花がら摘みも重要な作業です。花びらが落ちたタイミングで、葉は残して花の部分を摘み取りましょう。不要な花を取り除けば、養分が分散することを予防でき、見た目も良くなります。
全体の風通しが良くなることから、病害虫の予防にもなりますよ。
肥料に関しても、植えっぱなしだからといって放置してはいけません。芍薬は肥料を好む植物なので、年に3回(3月、6月、9〜10月)の施肥を忘れずに行いましょう。
特に花後の追肥は翌年の花芽形成に大きく影響するので、重要なんです。
植える場所はどこがいい?

芍薬を植える場所の選択は、栽培の成功を左右する最も重要なポイントです。
日当たりの条件
理想的な場所は、1日6〜8時間の直射日光が安定して当たる場所です。芍薬は日当たりを非常に好む植物なので、日照が不足すると芽形成が弱まり、つぼみが小さくなったり、つぼみ落ちが起きやすくなります。
| 場所 | 適性 | 理由 |
|---|---|---|
| 南向きの庭 | ◎ 最適 | 日照時間が長く安定 |
| 東向きの庭 | ◯ 良好 | 午前中の柔らかい日差し |
| 西向きの庭 | △ 注意 | 夏の強い西日で葉焼け |
| 北向きの庭 | × 不適 | 日照不足で花が咲かない |
| 高い塀の近く | × 不適 | 日陰になりやすい |
| 落葉樹の下 | △ 条件付 | 夏は日陰、冬は日当たり |
水はけの確保
芍薬は多湿に弱く、停滞水が続くと肥大根やクラウンが傷んで回復に年単位を要します
粘土質や低地で雨後に水が引かない庭は、見た目より深部が酸欠になり根腐れを招くんです。水はけの悪い場所では、高植え(周囲より10〜15cm盛土)と土壌改良の併用が効果的です。
改良配合の目安は、庭土:腐葉土:粗砂(または軽石)=6:2:2に、必要に応じてパーライト10%を追加します。pH6.5〜7.0を狙い、酸性が強い場合は苦土石灰を少量ずつ事前施用すると良いでしょう。
風通しとスペース
風通しが悪いと病気が発生しやすくなりますが、逆に風が強すぎる場所では、背の高い芍薬の茎が倒伏して、つぼみが折れてしまうこともあるんです。適度に風が通りつつ、強風は避けられる場所が理想的なんですね。
また、芍薬は成株になると株幅80〜100cm、根は半径40〜60cm程度まで太く張ります。中心株として単独スペースを確保した方が、芍薬も周囲の植物も健康に育てられますよ。芍薬を複数株植える場合は、株間を60〜80cm以上取ることをおすすめします。
開花時期と冬越しの方法
芍薬の開花時期は、主に5月から6月にかけてです。品種によって開花時期がやや早いものや遅いものもありますが、初夏の時期に一斉に豪華な花を咲かせる姿は圧巻ですよ。
開花のピークは5月下旬〜6月上旬で、その時期になると大輪の花が庭を明るく華やかに彩ってくれます。品種をうまく組み合わせることで、開花期を長く楽しむことも可能なんです。
開花時期が近づいてきたら、つぼみが重そうに下を向いている場合は、支柱を立てて支えてあげると良いでしょう。特に大輪品種や八重咲き品種は花が重いため、支柱があると安心です。
芍薬の冬越しは、実は非常に簡単なんです。芍薬は寒さに非常に強い植物で、原産地が寒冷地であることから、日本の冬も問題なく越すことができます。
冬になると地上部が完全に枯れますが、これは正常な生理現象です
地下の根がしっかりと生きており、春になると再び芽吹いてくれるので安心してください。地上部が枯れたら、地際で茎を切り取ります。このとき、無理に根まで掘り起こす必要はありません。
冬越しの準備としては、10月前に牛糞堆肥や腐葉土を株元に厚めに撒いておくと良いでしょう。これにより、冬の間に土壌が改良され、寒さから根を保護する効果もあります。
特に寒冷地では、マルチング材(藁やウッドチップ、腐葉土など)を株元に厚く敷いておくと、さらに安心なんですね。
芍薬は冬の低温が必要な植物で、冬の寒さに一定期間さらされることで、春の芽出しと花芽形成が促進されます。そのため、暖地では冬季の低温不足で花芽分化が弱まることがあるんです。
とはいえ、無理に寒さに当てる必要はなく、自然に冬を過ごさせれば十分ですよ。
鉢植えの場合も、屋外で冬越しさせるのが基本です。室内に取り込む必要はなく、むしろ寒さに当てることが翌春の開花につながります。ただし、強い風が当たる場所では鉢が倒れないよう注意し、乾燥が激しい場合は月に1〜2回程度水やりをしましょう。
春になって気温が上がってくると、芽が地面から顔を出し始めます。この芽出しの時期(3月ごろ)に、芽出し前の肥料を与えると、春からの成長が促進されるんです。
花が咲かない原因と対策
芍薬を育てていて、最も多い悩みが「花が咲かない」というトラブルです。見た目は元気に育っているのに、毎年つぼみすらつかない、あるいはつぼみができても開花しないということがあります。
| 原因 | 症状 | 対策 |
|---|---|---|
| 日照不足 | 葉は茂るが花が咲かない | 日当たりの良い場所に移動/植え替え |
| 植え付けが深すぎる | 芽が出ない、花が咲かない | 芽の先端を地表2〜3cm下に調整 |
| 肥料不足 | 株が小さい、花芽がつかない | 年3回(3月、6月、9〜10月)施肥 |
| 株の老化 | 花数が減る、花が小さい | 5〜6年ごとに株分け |
| 植え付け後間もない | 1〜2年目は花が少ない | 3年目以降を待つ |
| 剪定時期が早すぎる | 翌年花が咲かない | 葉が黄色くなるまで切らない |
| 病害虫 | つぼみが落ちる、開花しない | つぼみの時期から消毒 |
| 窒素肥料過多 | 葉ばかり茂る | リン酸・カリ主体の肥料に変更 |
原因①:日照不足
最も多い原因は、日照不足です。芍薬は1日6時間以上の直射日光が必要な植物なので、日陰や半日陰で育てていると、葉は茂っても花が咲きません。
植える場所の日当たりが悪い場合は、鉢植えにして日当たりの良い場所に移動させるか、地植えの場合は思い切って植え替えを検討する必要があります。
原因②:植え付けの深さ
芽の上に土を厚くかぶせすぎると、芽が地上に出られず、翌年花が咲かなくなります。芽の先端が地表から2〜3cm下になるように植え付けることが重要なんですね。深く植えすぎている場合は、秋に掘り上げて適切な深さに植え直しましょう。
原因③:肥料不足
芍薬は肥料を好む植物で、肥料が足りないと花が咲きにくくなります
特に花後の追肥(6月)を忘れると、翌年の花芽形成に影響するんです。年に3回(3月、6月、9〜10月)の施肥を、必ず行うようにしましょう。
原因④:株の老化
芍薬は何年も株分けをしないと株が老化して、花をつけなくなってしまうんです。5〜6年に一度は株分けを行って、株の若返りを図ることが必要なんですね。
原因⑤:植え付け後の年数
植え付けてから1〜2年は花が咲かないことも珍しくありません。芍薬は植え付け後、根が充実するまでに時間がかかる植物なので、3年目以降から本格的に開花するようになることが多いんです。焦らずに待つことも大切ですよ。
原因⑥:病害虫
つぼみができても開花しない場合は、病害虫が原因の可能性があります。つぼみの時期から消毒を行い、アブラムシや灰色かび病などの被害を防ぎましょう。つぼみに付いた蜜を優しく洗うと、開花を促すことができる場合もあります。
芍薬を植えてはいけないケースまとめ
ここまで芍薬の育て方について詳しく見てきましたが、最後に「芍薬を植えてはいけないケース」をまとめておきますね。
- 日照時間が1日6時間未満の庭では、芍薬は花芽が育たず開花が難しい
- 水はけの悪い粘土質の土壌や低地では、根腐れのリスクが非常に高い
- 狭い庭や花壇で他の植物と密接して植えると、芍薬が水分と養分を奪ってしまう
- 高い塀の北側や建物の影になる場所は日照不足で花が咲かない
- 西日だけが強く当たる場所は、真夏に葉焼けを起こしやすい
- 完全に放置して植えっぱなしにすると、株が密集して病気が発生しやすくなる
- 定期的な株分けができない環境では、株が老化して花が咲かなくなる
- 年3回の施肥が難しい場合は、肥料不足で花つきが悪くなる
- 強風が常に吹く場所では、背の高い芍薬が倒伏してつぼみが折れやすい
- 暖地では冬季の低温不足で花芽分化が弱まることがある
- 植え付けの深さが不適切だと、翌年以降も花が咲かない可能性がある
- 病害虫の管理ができない環境では、うどんこ病や灰色かび病が発生しやすい
- 鉢植えの場合、こまめな水やりと肥料管理ができないと枯れてしまう
- 芍薬が成長するスペース(株幅100cm程度)を確保できない狭い場所
- 一度植えたら移動できないため、将来的に庭の改造計画がある場所
逆に言えば、これらの条件に当てはまらない環境であれば、芍薬は十分に育てることができます。日当たりが良く、水はけの良い土壌で、適切な管理ができる環境なら、初心者でも美しい花を楽しめますよ。
芍薬は確かに少し手間がかかる植物ですが、その分開花したときの喜びは格別です。大輪の豪華な花と芳しい香りは、庭を一気に華やかにしてくれます。
植える前にしっかりと環境を確認し、適切な場所を選べば、毎年美しい花を楽しむことができるんですね。
というわけで、芍薬を植えることを検討している方は、まずご自身の庭の環境をチェックしてみてください。日当たり、水はけ、スペース、管理の手間などを総合的に判断して、芍薬に適した環境かどうかを見極めることが大切です。
環境が整っていれば、ぜひチャレンジしてみてくださいね!
