可愛らしい花を初夏から晩秋まで長く咲かせ続け、ガーデニングで人気のハーブ、チェリーセージ。その魅力的な姿に惹かれて庭に迎え入れたいと思う方は多いでしょう。しかし、インターネットで検索すると「チェリーセージ 植えてはいけない」という、少し不安になるような言葉を目にすることがあります。
なぜ、これほどまでに愛されている植物が、一部で植えるべきではないと言われるのでしょうか。その背景には、多くのガーデナーが経験した、いくつかの切実な理由が存在します。驚くほどの繁殖力で増えすぎたり、想像以上に大きくなりすぎたりする問題。剪定しないと、あっという間に「暴れる」ように成長し、手に負えなくなって後悔した、という多くの失敗談が語られているのです。
また、大切なペット、特に猫への毒性の有無や、他の植物の生育を妨げるコンパニオンプランツとしての注意点も、植える前に知っておきたい重要なポイントです。放置すれば、株元が硬くなる木質化を起こしてひょろひょろの見苦しい姿になり、自慢だったはずの花つきが悪い状態になってしまうことも。
この記事では、まことしやかに囁かれる虫除け効果の真実から、後悔しないための適切な植える場所や植え付け時期、枯れる原因、そして元気な株を長く楽しむための具体的な管理方法まで、チェリーセージに関するあらゆる疑問に、専門的な知見を交えて詳しくお答えします。
冬越しのコツ、失敗しない剪定や植え替えのタイミング、挿し木での増やし方、さらには葉が持つ心地よい香りや、気になる風水における意味まで、チェリーセージの本当の魅力を知り、賢く付き合っていくための知識を完全網羅した決定版です。
- チェリーセージを「植えてはいけない」と言われる5つの具体的な理由
- 後悔しないために知っておくべき正しい育て方と管理のコツ
- 増えすぎを防ぐ植え場所の選び方やプロが実践する剪定のタイミング
- チェリーセージの毒性や虫除け効果に関する科学的根拠と正しい知識
チェリーセージを「植えてはいけない」と言われる5つの理由

チェリーセージはその丈夫さから初心者向けと紹介されることも多いですが、その裏にはいくつかの厄介な特性が隠されています。なぜ一部のガーデナーから「植えてはいけない」とまで言われてしまうのか、まずはその具体的な5つの理由を深く掘り下げていきましょう。これらのデメリットを事前に理解しておくことが、後悔しないための第一歩です。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 開花時期が長い(初夏〜晩秋) 病害虫に強く育てやすい 甘く爽やかな香りを楽しめる 品種が豊富 | 繁殖力が旺盛で増えすぎる 放置すると木質化して見栄えが悪くなる ペット(特に猫)への毒性が心配される 他の植物の成長を妨げる可能性がある |
繁殖力が旺盛で増えすぎるから
チェリーセージを植えて後悔する最も大きな、そして最もよく聞かれる原因が、その手に負えなくなるほどの驚異的な繁殖力です。見た目の可憐さや、購入時のコンパクトな苗からは想像もつかないほど、強健な性質を秘めています。
地下茎とこぼれ種による「静かなる侵略」
チェリーセージは、主に2つの方法でそのテリトリーを拡大していきます。それはまるで「静かなる侵略」とも言えるほど、着実かつ広範囲に及びます。
地下茎による拡大
地植えの場合、チェリーセージは地面の下で地下茎(ちかけい)と呼ばれる根のような茎を四方八方に伸ばします。そして、元の株から少し離れた思いがけない場所から新しい芽を出し、独立した株のように成長を始めます。これにより、数年で株張りが1メートルを超えることも珍しくありません。
こぼれ種による増殖
初夏から晩秋まで長く咲き続ける花は魅力的ですが、花が終わった後にはたくさんの種ができます。この種が自然に地面に落ち(こぼれ種)、翌年の春になると一斉に発芽します。親株の周囲が子株だらけになり、あっという間にチェリーセージ畑のようになってしまうケースも少なくありません。
「暴れる」と表現されるほどの成長力と失敗談
この旺盛な成長ぶりは、多くの園芸家から「暴れる」と表現されるほどです。最初は花壇の彩りとして植えたはずの小さな一株が、1〜2シーズン後には主役の座を奪い、周囲の植物を覆い尽くすほど大きくなってしまった、という失敗談は後を絶ちません。

「最初は可愛くて気に入っていたのに、気づけば庭の一角がジャングルのように…。他の大切にしていた花が日陰になって枯れてしまい、本当に後悔しました」といった声も聞かれます。こうした事態を避けるためにも、植える前の計画がいかに重要かがわかります。
このように、コントロールが非常に難しく、少し油断しただけですぐに大きくなりすぎるという性質が、「チェリーセージは植えてはいけない」と言われる最大の理由なのです。
猫には危険?気になる毒性の有無
「チェリーセージには毒性がある」という話を耳にして、ペットや小さなお子さんがいるご家庭では特に心配になるかもしれません。この毒性の噂は、チェリーセージを含む一部のセージ類に、「ツヨン」という成分が含まれていることに由来します。
ツヨンとは?人間への影響について
ツヨンは、アブサンなどの薬草系リキュールの原料となるニガヨモギにも含まれる成分で、多量に摂取すると中枢神経系に作用し、痙攣などを引き起こす可能性があるとされています。しかし、チェリーセージの葉に含まれるツヨンの量はごく微量です。そのため、人間が通常の園芸作業で茎や葉に触れたり、その香りをかいだりする程度では、健康に影響を及ぼすことはまずありません。
注意すべきはペット、特に猫への影響
一方で、猫などのペットを飼っている場合は、より慎重な判断が求められます。猫は植物の葉をかじってしまう習性があり、人間とは体の大きさや代謝機能が異なるため、微量な成分でも予期せぬ影響を受ける可能性があります。
大切な家族の一員であるペットの安全を最優先に考えるなら、日本獣医師会などの専門機関も注意を促しているように、猫が自由に出入りする庭に植えるのは避けるか、猫の手が絶対に届かない場所に鉢植えで管理するのが最も賢明な選択と言えるでしょう。万が一、ペットがチェリーセージを食べてしまい、普段と違う様子が見られた場合は、食べた植物がわかるようにして、速やかにかかりつけの動物病院を受診してください。


他の植物の成長を妨げるコンパニオンプランツとしての注意点
チェリーセージは、その旺盛な成長力と大きさから、意図せずして隣接する他の植物の生存を脅かしてしまうことがあります。コンパニオンプランツとしての効果を期待して植えたのに、逆効果になってしまうケースも少なくありません。
物理的な圧迫とアレロパシー(他感作用)の二重苦
他の植物への影響は、主に2つの側面から考えられます。
- 物理的な競合:大きく成長したチェリーセージは、その葉で太陽光を遮り、周囲を日陰にしてしまいます。また、地下では強力な根が張り巡らされ、土の中の水分や養分を独占しがちです。これにより、隣に植えられた植物は、光、水、栄養のすべてを奪われ、生育不良に陥ってしまいます。
- アレロパシー(他感作用):植物の中には、根や葉から特定の化学物質を放出し、他の植物の種子の発芽や成長を抑制する種類があります。この現象をアレロパシー(他感作用)と呼びます。チェリーセージにもこの作用がある可能性が指摘されており、相性の悪い植物を近くに植えると、目に見えない化学的な攻撃によって弱らせてしまうことがあるのです。
コンパニオンプランツとしての光と影
チェリーセージは、その香りでモンシロチョウなどを遠ざける効果が期待できるため、キャベツやブロッコリーといったアブラナ科の野菜の近くに植えるコンパニオンプランツとして紹介されることがあります。しかし、この利用法にも注意が必要です。
| 相性 | 植物の例 | 詳細な理由 |
|---|---|---|
| 良い組み合わせ | キャベツ、ブロッコリー、トマト、ナスなど | チェリーセージの香りが特定の害虫を寄せ付けにくくする効果が期待できる。ただし、成長後のサイズを考慮し、最低でも50cm以上の十分な株間を確保することが絶対条件。 |
| 悪い組み合わせ | 生育が緩やかな植物、小型のハーブ類(タイム、オレガノなど)、背丈の低い草花、日照を好む植物全般 | チェリーセージの成長スピードに負けてしまい、日陰になったり、水分や養分を奪われて枯れてしまう危険性が非常に高い。 |
コンパニオンプランツとして利用する際は、チェリーセージが他の植物を圧倒しないよう、常に監視し、こまめに剪定してサイズをコントロールすることが成功の鍵となります。
ひょろひょろに?木質化して見栄えが悪くなる
チェリーセージを育てていると、特に2年目以降、株元の茎が茶色く硬くなり、まるで細い木の幹のようになってしまう現象に気づくでしょう。これは「木質化(もくしつか)」と呼ばれる、植物が自身の体を支えるために細胞壁を硬くしていく自然な老化現象の一種です。
この木質化自体は問題ではありませんが、適切なメンテナンス、つまり「剪定」を怠ると、株全体の美観と健康を著しく損なう原因となります。「剪定しないとどうなるか」を順を追って見ていきましょう。
剪定をせずに放置すると、古い茎は年々硬く、太く木質化していきます。植物の成長エネルギーは先端に向かうため、新しい芽や葉は株の上部にばかりつくようになります。
結果として、株元は葉のない茶色い茎だけが目立つスカスカの状態で、上部だけがひょろひょろと間延びした不格好なシルエットになってしまいます。この状態では内部の風通しも悪化し、病気や害虫の温床にもなりかねません。
最も残念なのが、花つきへの影響です。木質化した古い茎からは新しい花芽が出にくくなります。株全体のエネルギーが効率よく新しい花の生産に使われず、結果的にポツポツとしか花が咲かない、寂しい株になってしまうのです。
「剪定しないとダメ」と強く言われるのは、この木質化による見た目と花つきの悪化を防ぐためです。美しい姿とたくさんの花を毎年楽しむためには、思い切った定期的な剪定が絶対に欠かせない作業なのです。
期待した虫除け効果はない?
シソ科のハーブ特有の爽やかな香りから、「チェリーセージを植えれば庭に虫が来なくなる」といった強力な虫除け効果を期待する方が少なくありません。しかし、残念ながらその期待は裏切られる可能性が高いでしょう。



むしろ、知っておくべきなのは「チェリーセージ自身も害虫のターゲットになる」という事実です。
特に、春先に伸びてくる柔らかい新芽や蕾には、アブラムシがびっしりと付くことがよくあります。また、剪定不足で葉が混み合って風通しが悪くなると、高温乾燥期にハダニが発生したり、梅雨時期にうどんこ病(白い粉を吹いたようなカビ)に悩まされたりすることも。つまり、虫除け目的で植えたのに、かえって害虫や病気の発生源になってしまうことすらあり得るのです。
結論として、チェリーセージの虫除け効果は「特定の虫に対して、多少の効果が期待できるかもしれない」程度に考えておくのが正解です。本格的な害虫対策としては、過度な期待はせず、日々の観察による早期発見と、適切な剪定による風通しの確保といった基本的な管理を徹底することが何よりも重要です。
後悔しない!チェリーセージと上手に付き合う育て方


ここまで「植えてはいけない」と言われるいくつかの厳しい側面を解説してきましたが、それらはすべて、チェリーセージの生命力が旺盛であることの裏返しです。その強健な性質を正しく理解し、ほんの少し手をかけてあげるだけで、チェリーセージはデメリットを補って余りある素晴らしい魅力を見せてくれます。ここでは、後悔せずにチェリーセージと長く上手に付き合っていくための具体的な育て方と管理のコツを詳しく解説します。
| 管理項目 | 最重要ポイント | 補足 |
|---|---|---|
| 植える場所 | 鉢植えが最も管理しやすい。 | 地植えは根域制限(ルートコントロール)を検討する。 |
| 剪定 | 花後と晩秋の年2回が基本。 | 思い切って強く切り戻すのが成功のコツ。 |
| 日当たり | 日当たりと風通しの良い場所を好む。 | 半日陰でも育つが、花つきは日向に劣る。 |
| 水やり | 地植えはほぼ不要。鉢植えは「乾いたらたっぷり」。 | 過湿は根腐れの原因。乾燥には非常に強い。 |
| 肥料 | 基本的に不要。 | 与えすぎると花が咲かなくなる「葉ボケ」を起こす。 |
植えるならどこがいい?場所と時期の選び方
チェリーセージ栽培で後悔しないためには、最初の「どこに、どうやって植えるか」という計画が8割を決めると言っても過言ではありません。成長後の姿を想像し、最適な場所と方法を選びましょう。
地植え vs 鉢植え 徹底比較|初心者には鉢植えが絶対おすすめ
結論から言うと、特に初心者の方や、管理の手間を最小限にしたい方には「鉢植え」での栽培を強く推奨します。それぞれのメリット・デメリットを詳しく見てみましょう。
| 鉢植え | 地植え | |
|---|---|---|
| 管理のしやすさ | 非常に容易 | 難しい |
| 繁殖のコントロール | 簡単(増えない) | 非常に難しい |
| 移動 | 可能 | 不可能 |
| 水やり | 必要 | ほぼ不要 |
| 成長サイズ | コントロール可能 | 大きくなりすぎる傾向 |
地植えの危険性と対策
どうしても地植えでダイナミックな姿を楽しみたい場合は、「根域制限(こんいきせいげん)」という対策を必ず施しましょう。これは、大きなプラスチックの鉢(スリット鉢など)の底をのこぎりで切り抜いたものや、市販の「ルートコントロールバッグ」などを庭に埋め込み、その内側にチェリーセージを植え付ける方法です。物理的な壁で根が広がる範囲を制限することで、地植えでありながら繁殖をある程度コントロールできます。
最適な植え付けシーズンと冬越し対策
チェリーセージの植え付けや植え替えに最適な時期は、株への負担が少ない春か秋です。
・春:4月~6月(霜の心配がなくなり、気温が安定してくる頃)
・秋:9月~10月(厳しい夏の暑さが和らぎ、冬が来る前に根を張らせる時間がある頃)
真夏や真冬の作業は、株が弱って枯れる原因になるため絶対に避けてください。また、チェリーセージは-5℃程度の寒さまで耐えられますが、寒冷地で地植えにする場合は冬越し対策が必要です。晩秋の剪定後、株元に腐葉土やバークチップを厚めに敷く「マルチング」を施しましょう。これにより、地面の急激な凍結から根を守り、春の芽吹きを助けることができます。
どこまで放置できる?剪定と日々の管理
チェリーセージは「ほったらかしでも育つ」と言われるほど強健ですが、それはあくまで「枯れずに生き延びる」というレベルの話に過ぎません。その魅力を最大限に引き出し、毎年たくさんの花を咲かせる美しく健康な株を維持するためには、適切な管理、特に大胆な剪定が不可欠です。
剪定は必須!美観と花つきを維持するための年2回の重要作業
剪定の主な目的は、「①風通しを良くして病害虫を防ぐ」「②木質化を抑制し、株の若返りを図る」「③新しい芽の成長を促して花つきを良くする」の3つです。この目的を達成するための最適な剪定タイミングは、年に2回あります。
チェリーセージ 剪定のゴールデンタイム
- 1回目:花後の切り戻し(6月下旬~7月ごろ)
春から初夏にかけて咲いた一番花が一段落し、梅雨で株が蒸れやすくなる時期に行います。全体の高さの半分から1/3程度まで、思い切って切り戻しましょう。ここで剪定することで、風通しが良くなり夏越しが楽になるだけでなく、秋に再び花を咲かせるための新しい枝が育ちます。 - 2回目:晩秋の強剪定(11月~12月ごろ)
その年の花がすべて終わり、葉が落ち始める頃に行う、冬越しのための重要な剪定です。地際(株元)から10~15cmほどの高さまで、バッサリと強く刈り込みます。硬くなった木質化部分もためらわずに切るのが最大のポイントです。



「こんなに短く切って、本当に大丈夫?」と、特に強剪定の際には不安になるかもしれませんが、全く心配いりません。チェリーセージの強靭な生命力を信じてください。この剪定によって株のエネルギーが根に蓄えられ、春にはたくさんの新しい芽が力強く吹き出し、より若々しく、花の多いコンパクトな株に生まれ変わります!
水やりと肥料は「やりすぎない」が鉄則
日々の管理で最も注意すべきは、「お世話のしすぎ」です。
水やり
・地植えの場合:一度根付いてしまえば、日本の気候では降雨だけで十分です。真夏に何週間も雨が降らず、葉がしおれるような日が続く場合のみ、朝か夕方の涼しい時間帯に水を与えます。
・鉢植えの場合:「土の表面が完全に乾いたら、鉢底から水が勢いよく流れ出るまでたっぷりと与える」のが鉄則です。受け皿に溜まった水は必ず捨ててください。土がまだ湿っているうちに追加で水やりをすると、過湿による根腐れを引き起こし、枯れる最大の原因になります。
肥料
チェリーセージはもともと痩せた乾燥地帯に自生する植物のため、多くの栄養を必要としません。肥料は基本的に不要と考えてください。特に、花を咲かせる成分(リン酸・カリ)よりも葉を育てる成分(窒素)が多い肥料を与えすぎると、葉ばかりが青々と茂って花が咲かなくなる「葉ボケ(つるボケ)」という状態に陥ります。もし与える場合は、春先に緩効性の化成肥料を少量施すか、植え替え時に元肥を混ぜ込む程度で十分です。詳しくは、NHK趣味の園芸のサイトなども参考にすると良いでしょう。
株の増やし方と植え替えのタイミング
チェリーセージは、剪定した枝を利用して驚くほど簡単に増やすことができます。お気に入りの株を更新したり、友人へのプレゼントにしたりするのも楽しいでしょう。また、鉢植えで管理する場合は、健全な成長を維持するために定期的な植え替えが欠かせません。
挿し木で簡単クローン!成功率を上げる手順とコツ
剪定で出た健康な枝を使えば、親株と全く同じ性質を持つクローンを簡単に作れます。この方法を「挿し木(さしき)」と呼びます。発根しやすい最適な時期は、気温が安定している春(5月~6月)か秋(9月~10月)です。
その年に伸びた、病害虫のない元気な枝を10cmほどの長さに切ります。先端の葉を2~4枚ほど残し、それより下の葉はすべて付け根からきれいに取り除きます。葉を減らすのは、余計な水分の蒸散を防ぐためです。
切り口をカッターナイフなど切れ味の良い刃物で斜めにスパッとカットし直します。コップなどに入れた水に切り口を1~2時間つけて、しっかりと水を吸わせます(水あげ)。この時、発根促進剤(ルートンなど)を切り口に少量つけておくと成功率がさらに上がります。
肥料分のない清潔な土(挿し木・種まき用の土、赤玉土小粒、鹿沼土など)をポットに入れ、あらかじめ湿らせておきます。棒などで穴をあけ、そこに用意した挿し穂を挿します。土が乾かないよう日陰で管理すれば、数週間~1ヶ月ほどで発根し、新芽が動き始めます。
鉢植えのSOSサイン!植え替えのタイミングと方法
鉢植えで育てている場合、鉢の中は限られたスペースのため、いずれ根でいっぱいになります(根詰まり)。根詰まりを起こすと、水や養分をうまく吸収できなくなり、生育が衰えてしまいます。そのため、1~2年に一度は一回り大きな鉢に植え替える作業が必要です。以下のようなサインが見られたら、植え替えの時期です。
植え替えが必要なサイン
- 鉢の底穴から根がはみ出してきている
- 水をやっても土の表面に染み込んでいくのが遅い
- 以前に比べて土が乾くのが異常に早い
- 株の大きさに対して鉢が明らかに小さく、バランスが悪い
- 葉の色が悪くなったり、下葉が枯れ上がったりする
植え替えの適期も、植え付けと同じく春(4月~6月)か秋(9月~10月)です。鉢から抜いた根鉢の周りの古い土を1/3ほど優しく落とし、固まっている根を軽くほぐしてから、新しい土で一回り大きな鉢に植え付けます。


香りは?風水的にはどうなの?
チェリーセージは、育てやすさや花の美しさだけでなく、五感で楽しむ魅力や、スピリチュアルな側面からも注目されることがあります。ガーデニングをさらに豊かにする、プラスアルファの知識をご紹介します。
暮らしに活かすチェリーセージのフルーティーな香り
チェリーセージの最大の魅力の一つが、その葉が放つ独特の香りです。品種によって多少の違いはありますが、一般的には葉を指で軽くこすると、サクランボのようなフルーティーな甘酸っぱさと、ミント系のハーブに似た爽やかさが混じり合った心地よい香りが立ち上ります。この香りにはリラックス効果があると言われており、ガーデニング作業中の癒やしにもなります。
運気を呼び込む?風水におけるチェリーセージの効果
古くから、香りの良い植物は良い気を呼び込み、悪い気を浄化する力があると信じられてきました。風水の世界でも、チェリーセージのようなハーブは、空間のエネルギーを整えるアイテムとして重宝されることがあります。
チェリーセージと相性の良い方角
| 方角 | 期待できる運気 | 解説 |
|---|---|---|
| 東南 | 恋愛運・結婚運・人間関係 | 「縁」を司る方角。チェリーセージの香りと可愛らしい姿が良い縁を引き寄せるとされる。 |
| 西 | 金運・商売運 | 「金」の気を持つ方角。紅白の花が縁起が良いとされ、楽しみごとや豊かさをもたらすと言われる。 |
| 玄関 | 全体の運気アップ | すべての気の入り口である玄関に置くことで、悪い気を払い、良い気を家の中に招き入れる。 |
特に、代表的な品種「ホットリップス」の赤と白の花は、日本では古くからおめでたい配色とされる「紅白」であり、縁起の良さを感じさせます。科学的な根拠はありませんが、信じることで植物への愛着がさらに深まるかもしれませんね。
チェリーセージに関するよくある質問
- 元気に育っていたのに、急に枯れる原因は何ですか?
-
最も多い原因は「根腐れ」です。チェリーセージは乾燥に強い反面、過湿には非常に弱いです。水のやりすぎで土が常にジメジメしていたり、水はけの悪い土を使っていたりすると、根が呼吸できずに腐ってしまいます。次に多いのが「蒸れ」です。特に梅雨時期や夏場に剪定を怠って葉が密集していると、株元の風通しが悪くなり、カビが原因の病気にかかって一気に枯れ込むことがあります。
- 代表的な種類にはどんなものがありますか?
-
最も有名で人気が高いのは、気温によって花の色が赤と白に変化する「ホットリップス」です。基本は赤と白のツートンカラーですが、夏場の高温期には真っ白な花、涼しくなると真っ赤な花を咲かせることがあり、その変化も楽しめます。他にも、全体が鮮やかな赤い花を咲かせる「チェリーセージ・ルージュ」、優しいサーモンピンク色の花をつける「サーモンピンク」、清楚な純白の花が魅力の「アルバ」など、様々な園芸品種が存在します。お好みの花色を選んでみるのも良いでしょう。
- チェリーセージは本当に食用にはできないのですか?
-
はい、できません。同じ「セージ」という名前がついていますが、料理の香りづけやソーセージに使われる「コモンセージ(Salvia officinalis)」と、観賞用の「チェリーセージ(Salvia microphyllaなど)」は、同じサルビア属でも異なる種です。チェリーセージは観賞用に改良されてきたハーブであり、食用の安全性は確認されていません。香りを楽しむだけに留め、絶対に口にしないでください。
- 花つきが悪くなるのはなぜですか?
-
原因は主に3つ考えられます。①剪定不足:木質化が進み、新しい枝が出にくくなっている。②日照不足:半日陰でも育ちますが、花をたくさん咲かせるには1日に最低でも5〜6時間の日光が必要です。③肥料のやりすぎ:特に窒素分の多い肥料を与えると「葉ボケ」を起こし、葉ばかりが茂って花が咲きにくくなります。
【まとめ】チェリーセージを後悔なく楽しむための全知識
最後に、この記事の最も重要なポイントをまとめました。チェリーセージをこれから植える方も、すでに育てていてお悩みの方も、これらの点を心に留めておけば、きっと後悔なくその魅力を最大限に引き出すことができるでしょう。
- 「植えてはいけない」と言われる一番の理由は制御不能な繁殖力の旺盛さ
- 地植えにすると地下茎とこぼれ種で増えすぎて後悔することがある
- 管理に自信がなければ鉢植えで育てるのが最も確実で賢明な対策
- 放置すると株元が木質化して見栄えが悪くなり花つきも激減する
- 美しい株を保つには花後と晩秋に行う年2回の定期的な剪定が不可欠
- 猫などのペットが誤食しないよう毒性のリスクには十分な配慮が必要
- 他の植物の成長を妨げる可能性があるので株間は十分に空ける
- 期待される虫除け効果は限定的でアブラムシなどがつくこともある
- 日当たりと風通しの良い場所を何よりも好む
- 水やりは控えめにし過湿を避けるのが根腐れさせない最大のコツ
- 肥料は基本的に不要で与えすぎは花が咲かない原因になる
- 挿し木で簡単に増やせるが必ず計画的に行うことが大切
- 鉢植えは1〜2年に一度の植え替えで根詰まりを防ぎ活力を維持する
- 甘く爽やかな香りはポプリやサシェなどクラフトにして楽しめる
- 正しい知識と適切な管理でチェリーセージはガーデニングの素晴らしい仲間になる







